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TOYOTA センチュリー V型12 気筒 5000cc
皇室イベントには必須となるクルマといえばトヨタの誇る「センチュリー」です。天皇陛下のお乗りになる「センチュリーロイヤル」は特別仕様車ですが、その量産型と言えるのが「センチュリー」です。
「トヨタの中でもセンチュリーは特別で、作り方も普通ではない」と聞いていました。
センチュリーの生産に関わる人は最低20年以上生産の現場で働いており、その中でも腕前を認められた人だけがセンチュリーの生産に携われるのです。しかも、選び出された後も1年ほどは研修員扱い。それほどの技量が求められるのです。そのため社内ではセンチュリーを作る人は「工員」ではなく「クラフトマン」。
工場も「センチュリー工房」と呼ばれます。
センチュリー生産に携わるクラフトマンは、ほんの数十名という精鋭。作る人も特別です。
生産方式も普通とは違います。通常、月に何千台、何万台も生産する自動車の工場は、建屋の中は機械音や溶接音などが満ち溢れ、隣の人との会話もままなりません。ところがセンチュリーの工房は、ひっそりという表現が似合うほど静かなところでした。
スポット溶接個所は、一般乗用車の3倍。 1台のセンチュリーをつくるのに携わる選ばれしクラフトマンは3~4人のみ。 内装のウッドパネルは、提携先のYAMAHAのピアノ製造技術が生きています。
ボディは最後に手作業で仕上げられます。専門のクラフトマンが手作業によって叩き、グラインダーで磨く、まさに職人芸です。これができる人間は、わずか3名しかいないというのも驚きです。
ボディが完成したら、最後にドアの取り付け角度の修正です。プレスラインがまっすぐになるように、ドアのヒンジの部分を調整します。見ていると、実際には数ミリのズレが。これは、後に内装材を取り付けると重量でドアが下がるので、それを見越しているためとか。また、ボディとドアの隙間は3.5mmで、これはトヨタ最小の数値です。この修正とチェックだけで1時間もかかるそうです。
通常の量産車の塗装は、4層構造になっています。ところがセンチュリーのブラック塗装(エターナルブラック「神威」)は7層構造。普通は「電着」「中塗り」「ベースカラー」「クリア」で完成です。ところがセンチュリーは、その上に「ベースカラー」「カラークリア」「トップクリア」の3層をプラス。いってしまえば普通の塗装を2回行うようなもの。
もちろんこれらの研磨作業は手作業。これも、できる人は、4名+訓練中2名のわずか6名しかいません。仕上がった塗装面の「ツヤ感」「肌の美しさ」は世界最高峰レベル。ピカピカのCピラーに写る自分の姿を見て、ネクタイを直すのがセンチュリーに乗るVIPのお約束とか。それほど塗装にこだわっているため、1台のセンチュリーにかかる塗装時間は約40時間。つまり1日8時間の作業だと、月曜にスタートしてから金曜まで、約1週間もかかってしまうのです。
そんな丁寧さの象徴が「ヒストリー・ブック」です。これは初代センチュリーから続くもので、生産にかかわったクラフトマンが、1488項目もの品質確認を作業中に書き込んでいくものです。1967年の初代モデルから、すべての1台ごとのセンチュリーに対してヒストリー・ブックが保存されているのです。
生産されるすべての車両に対し、各工程を終えるたびに、担当した作業者の名前や日時とともに検査結果を記録している。手作業で時間をかけて丁寧につくり上げられるセンチュリーだからこそ、1台が誕生するまでの軌跡が大切に刻まれています。
コストを度外視して時間をかけて完璧なクルマをつくりあげる技術の賜物です。

クルマができ上がると、最後に行われるのが完成車検査です。そこにはセンチュリーならではの特別な検査がありました。それが「面塗装品質確認場」です。100本以上の蛍光灯と6つの人工太陽灯で、できあがった車体の塗装面をチェックします。
ボディに写り込む蛍光灯の光は、驚くほどにくっきりとしています。ここでいろいろな角度から塗装面を見て、塗装面のくすみなどを探し出します。これにかける時間は約90分。普通ではない特別な製品とはいえ、ここまでやるとは驚くばかりです。ちなみにセンチュリーの象徴である鳳凰のエンブレムは手作りによるもので、完成までに1か月半かかるとか。
トヨタの中でも特別な存在というセンチュリーは、やはり作り手の気合も普通ではなく特別なものでした。
国産車の歴史の中で唯一の12気筒エンジン。 なめらかなエンジンフィールは振動を微塵も感じさせません。
目に見えない部分にも多くのコストがかけられ、信頼性や安定感は世界の高級車と言われているロールスロイスをはるかにしのぎます。
華美な装飾とは無縁で質実剛健。多くのハンドメイドと丁寧なつくり。職人魂の塊ともいえるクルマ。
高速道路では、12Km/Lという燃費とガソリンタンクの容量も92リットル。
おかげで、自宅から妻の実家の福岡県まで往復2200Kmも疲れを知らないで快適に往復することができます。

MAZDA ロードスター

マツダのチーフデザイナー・福田成徳氏に描いていただいたもの
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